Objet d' art

DESIGNER

Jean Prouvé

Jean Prouvé

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「私は建築家でもなく、エンジニアでもない、工員なのだ。」ジャン・プルーヴェ(1901-1984)が自らのことを称したことばとしてよく知られていますが、このことばの通り、プルーヴェは資格としては建築家でもエンジニアでもなく、ただの工員でした。エコール・ド・ナンシーの芸術家の父とピアニストの母の間に生まれたプルーヴェは、1901年パリで生まれ、1904年にナンシーへ移住。10代の頃から金工職人として修行を始め、1923年に最初の工房を立ち上げると、鋳鉄製品をつくり始めます。やがて、同じ時代のもっとも先進的な建築家たちと出会い、そしてスチールやアルミニウムといった新素材や、従来とは異なる製造技法の開発を重ね、自らがモダニズムを牽引するようになります。先の言葉の通り、自らを構築家と位置付けたプルーヴェは、家具や建築をデザインする際に、設計はもとより、自らの手でつくるまでの全行程に関わりました。家具や建物を工業化するという思想と、氏の職人としての物作りに対するこだわりを礎に、短期間で大量に、効率よく作ることができる仕組みを考えました。シンプルで美しい、合理的なデザインは、普段見ることができない部分である柱の断面や、パーツなどの細部にまでいきわたり、随所にプルーヴェのこだわりを垣間見ることができます。「オフィスや自宅で製図板に向かって仕事をする”デザイナー”と、ジャン・プルーヴェのような人々との間には、大きな違いがあるのです。彼は、アイデアを思いついたら、すぐにそれを実現させました」シャルロット・ペリアンにも言及されている通り、プルーヴェには発想と実現の間の壁がなかったように感じます。現に彼のアトリエでは、図面やスケッチで考えられたものは、次の日には実現されていく環境が整っていました。もともと大衆向けにデザインされたプルーヴェの作品は、半世紀以上経った今なお、その美しさで私たちを魅了し続けています。

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