ガエターナ・エミリア・アウレンティ（1927-2012）はガエ・アウレンティのペンネームで、特に建築デザインと修復のテーマに傾倒したイタリアのデザイナー兼建築家である。彼女は1955年から1965年まで建築デザイン雑誌『Casabella Continuità』でアートディレクターとして働き、編集長 Ernesto Nathan Rogersの哲学に影響を受けた一群の若いデザイナーの一員となっている。Le CorbusierやWalter Adolph Georg Gropiusなどの近代建築の巨匠の影響を拒否して独自のアイデンティティを模索した彼らは、自分たちの運動を「Neoliberty」と名付け活動を行なった。

　同世代で最高の建築家のひとりとされる彼女は、国際的なデザイン史に忘れがたい足跡を残した。その長いキャリアを通じて、高松宮殿下記念世界文化賞を受賞したほか、レジオンドヌール勲章やイタリア共和国功労勲章も受けている。彼女の作品のうち有名なものには、パリのオルセー美術館の改修や同じくパリのポンピドゥー・センターの国立近代美術館、ヴェネツィアの美術館パラッツォ・グラッシ、サンフランシスコのサンフランシスコ・アジア美術館など、既存の建築を改修して巧みに光を用いた美術館建築が含まれている。